2008'07.02.Wed
level.43
今日から仕事に復帰致しますた。
「出てくるの早っ!」と言われますた…。頑張ったのにこの仕打ち。
私の存在丸ごとウィルス扱いです。キャーキャ怖がられた。何、コレ。イジメ?
「仕事?あ~、行っても良いんじゃね?」と歯医者のイケメン先生が何故かカタカタ電卓打ちながら仰ったので、まだロクに食べ物摂取が出来ないのに出て行ったらこの仕打ち。
ま…。おたふく風邪になりますたと電話で話したので仕方ないと思いますが、仕事溜まってんじゃん!
インフルとか、治ったー!てのがハッキリ分かるものなら良いんですけど、オタフクさん、モトがモトなんで(筋肉痛と診断されたしね)「大丈夫ですよ!」と強く言えない自分がまた一層可哀相だなと。
ぶっちゃけ、うどん、食べ飽きた。
こんばんわ、スナです。早速帰宅時間が、この数日の就寝時間だったのでウンザリします。
私が戦っている間に、呑み会が2回も行われてました。本気で悲しかったです。
何だか…ハッスルしたいなと、夜中にガリガリ鉛筆握ってたらこんな絵を描いてますた。
温泉旅館でみんなでハッスルしたい…。でも一緒に行ってくれる友達いない…。
「今度の休み、地元に帰るから●●温泉に現地集合な!」ガリガリ描きながら地元の友人に電話すれば、
「アンタの休みの日、みんな働いてますけど~。つうかオタフクだったんでしょ?ヤだよ」
県を越えて丸ごとウィルス扱いです。
病み上がりはヒッソリ引きこもりします。黙々と鉱石でも育成します。
次の次の休みに備えて妄想とパワーを充電します。
つうか、その前に休んだ分、働け!
壁に掛けられた振り子時計が20時を知らせると共に店の電気が全て落とされる。しかし事前に点けられていたロウソクによって、店内は優しい光に包まれていた。こんな夜も悪くないなと今夜の「気まぐれ定食」のニシンのバター焼きを食べつつ思った。
「やれやれ。一息ついたわ~」
店長がキッチンから現れ、カウンターの中に入ると立てかけてあった簡易の椅子を開き腰掛ける。
「お久しぶり、タロちゃん。元気だった?」
キシザワと同じことを言う。会って数回、しかもただの客の俺にどうしてこんなに親しげに話しかけられるのか不思議に思うが、それを考えると何だかテンションが下がるのであまり触れないことにする。
「今日はね、夏至祭なんよ。長い冬が終わりを告げ、短い夏の到来を喜ぶ北欧のお祭。今タロちゃんが食べているそのニシンのバター焼きも北欧の料理なんよ」
「店長は色々詳しいですね。俺なんて肉じゃが1つ、まともに作れないのに」
ただ単純に良く知ってるなと思っただけだったのだが、店長はふっと笑うと
「そりゃま、色々行ったから…」
と答える。しかしその顔は何だか少し悲しげに見えた。キャンドルの灯りのせいだろうか。その時、2人組の客に声をかけられ店長自らレジを打ちに行く。ハルタとキシザワは小さなテーブル席で将棋をしている。何やかんや言いながらもあの2人は仲が良い。邪魔するのも悪いと思い、俺は食べ終わった食器を自らキッチンへ運んだ。キッチンの中は流石に電気が付いており、先ほど出て行った2人組みの食器を片付けている店長の小さな背中がすぐに眼に飛び込んできた。
「ご馳走さまでした」
俺の声に驚いた表情で店長が振り返る。勝手に入ってすみませんと食器を渡す。
「わざわざごめんね。ハルタに言えば良いのに」
「キシザワとの将棋に真剣だから声、掛けにくくて。仲、良いですよね、あの2人」
あははーと軽い調子の俺に、店長はニッコリ笑う。
「キッシーにはホント、助けられてるのよ~」
店長は保冷庫からコロナビールを2本取り出し慣れた手つきで、栓を開けライムを落とすと溢れるビールに全くお構いなしの顔で1本を俺に差し出した。意外とワイルドな人だ。どうもと呟き俺は受け取る。
「無口で無愛想で…あ、こいつグレるな、イヤだな、面倒だなと思ってたんだけど、ハルタの進学した高校にキッシーがいてくれたからハルタのヤツ、グレるどころかあんなに素直で可愛い子になっちゃった」
えへっと笑う店長に俺は引きつった笑顔だけ向ける。今でも十分、無口で無愛想だと思いますよ、女子高校生にしては。
「キッシーも、この店に来始めた頃はギスギスした目つきの悪いキモイ男でさ、ああ、嫌な客に眼を付けられたなあ、イヤだなあと思ってたんだけど、当たり障りのないように好きにやらせてたら結構、良いヤツでさ、話してみれば高校教師なんて言うし。そのうち毎晩のようにここで夜ご飯食べるようになってて。しかもいつも1人。友達、いないの~なんて冗談で前に聞いたことあるんだけど真顔で『いない』なんて言われたらもう、友達になるっきゃないでしょ」
ピーピーと洗浄機の終了を告げる音がし、店長はユックリと蓋を開けた。モワ~と湯気が立ち込める。
「此処に友達がいない人間としては」
そこまで一気に言うと店長はふぅ~と手で顔を仰ぎ、コロナを豪快に飲んだ。最後に発したセリフに引っかかるものを感じ俺は思わず「え?」と呟く。
「知り合いは沢山いるよ。でも友達はいないのよ、私。あ~でも、友達って言うより相談相手って感じかな、キッシーは」
何でもないことのようにサラリと言う店長の言葉にドキッとした。
「タロちゃんにもそんな人、いる?もし募集中ならキッシーは丁度良いわよ、オススメよ」
「い、いや、俺は別に~」
思わぬ店長の発言に俺はしどろもどろに答える。それじゃあ~と人差し指を口に押し当てながら店長は言った。
「女の私じゃキッシーの投げたい球を受け止めてあげることが出来ない時もあると思うのね。その時はタロちゃんにお願いしても良いかな?」
どこまでお節介な人なんだと瞬時に思った。そして、どこまで不器用な人なんだろうと。
まるで子供のように素直で真っ直ぐで。でもちょっと力を加えたらあっという間に崩れてしまうような。
でもそんなことを考えてしまう自分だって、そういう頃があったハズなのに。
いつの間にか。
ひたすら感情は押し込んで…「大丈夫、問題ない」「仕方がない、想定内のことだ」そうやって気付かぬ振りをしてきた。だってみんなそうやってるんだから。それが「大人」なんだから。愚痴を言ったり泣き言を言ったりするのは負け犬だ。そんな情けない姿を晒しても空しくなるだけだ。人に弱みを見せてどうする?
淡々と生きてきた。滞りなく当たり障りなく順調に。「みんな」と同じように生きてきた。「マニュアル」通りに生きてきた。それで良いと思ってきた。間違っていないと思ってきた。
でも。
そんな俺の中にこの店のヤツラは、いとも簡単にズカズカと入ってくる。間違ってはいない、でも面白くもないそんな俺の人生に。
「どうして…」
俺は下を向いたままボソリと呟いていた。え?と店長はきょとんとした声を発した。その声に俺は、たがが外れたように一気に爆発した。
「どうして俺なんかにそんなに構うんですか?俺、ただのリーマンですよ。しがない何処にでもいる営業マンです。モジャのように海外を飛び回る凄いエリートでもないし、キシザワのようにハルタのこととか全然知らないしってか、ハルタ、男だと思ってたし、インテリメガネみたいに過去に出会ってたワケでもないし、ただ何となくこの店に入って普通に食事してただけだし、それなのにこんなに何か昔からの馴染みみたいになってて…タローとかタロとか勝手に馴れ馴れしく呼ばれる筋合いもないしってか俺、タローじゃないし!」
一気に捲くし立てるように叫んで俺はハッとした。何言ってんだ俺。何やってんだ俺…。
「そうだね。ごめんね…」
店長の声に俺は頭を上げた。ちょっと困ったような顔をしている。マズイと思った。
「名前、教えてくれる?」
「…フジイ、です。でももうそんなのどうでも良いです。こっちこそ大きい声だしてすみませんでした」
俺は寄りかかっていたシンクから離れコロナの空き瓶を置いた。
「ご馳走様でした。ハルタにこのコロナの分も勘定して貰いますから…」
キッチンを出ようとしていた俺に店長が呼びかける。
「フジイ君は何処にでもいるフジイ君じゃないんだよ…っ」
俺は振り返りもせずそのまま店内に戻り、ハルタに勘定をお願いした。不穏なオーラを纏っていた俺にハルタは何かしら察したようだが、敢えて何も言わず、申告したコロナ1本もきちんと請求した。
「また来て下さいね、今度はタローさんと将棋、打ちたいです」
ドアを開けてくれながらちょっと不安そうな声で言うハルタの頭をポンポンと叩くと俺は店を後にした。
※設定では既に完結しているハズなのに、タローが想定外にヘタレで先に進まん。そんなイラっとするタローは自然と地元のイラっとするヤツの名前を名乗ってますた。タローすげー。全て想定外です。もうどうなるのか誰も知りません。
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