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cesta 07

かいしんのいちげき

2024'11.05.Tue
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2008'06.24.Tue



level.43


今思えば…
昨夜からちょっと調子が可笑しかった。

今朝起きたらば、
顎が痛くて口が開きませんですた…っ


こんばんわ、スナです。今は何とか口開きます。不良品のクルミ割り人形ですかっ!?

右耳の後ろ辺りがアイタタなって、こりゃヤバイ、外国人さんとガチンコもままならない、不戦敗か!?

てな…、結構焦ったので朝っぱらから歯医者に行って参り痛み止めを頂戴致しやした。


顎関節症と言う文字がよぎりましたが、何とか免れ、診断は…

「筋肉痛」

え?


くどくどと何度も同じことを言うイケメン先生が、ホントに何度も同じ言葉を仰っていたのが、

「歯軋り」

え、何で知ってんの?

結局。歯軋りによる筋肉痛としか分かりませんですた。あんなに一生懸命何度も丁寧に説明してくれてたのに、イケメン先生だったのに、理解できなかった私はアホです。

つうかさ、歯医者って説明時、椅子を起こしてくれてるのは良いけど、ナナメ右後ろから色々言われるから首がスッゲー疲れるんだよね。顎どころか首まで可笑しくなりそうなのが気になって気になって…言い訳。


てか、それよりも…。
顎の筋肉が筋肉痛ってどうよ?有り得んー!! 歳ですな、ふぅ。



「無理せず休んでよかったのに~」と優しい我がチームのリーダーが、「筋肉痛ですた…」と言う私の報告を、笑いを噛みしめつつ労わりのお言葉をかけてくれますたが、

「はい、コレ」美しい笑顔で午前中の仕事を残さず返してくれますた…。
労わってくれてんだかスパルタなのか、優しいんだか手厳しいのか…。ふぅ。

あ、外国人サンとも無事に何とか今日は引き分けで終わりますた。まだ続く…。

でも凄く良い人だったし、日本語ベラベラでもなく、かと言ってサッパリデースてことでもなく…とりあえずホッ。

たまに英語になってたけど、こっちも何とか聞き取りが出来たのもこれも日頃の英語勉強のタマモノか!?(お遊び程度だけど)

何故か。
お互い喋ったあと必ず「OK?」と言い、そして「Yeah!」と答えて次に進むのと、数字は何故か全て英語だったってのが通常とは違うなコレと思いますたが、楽しかったデス、ぶっちゃけ。

次回はNext Weekでござるナリ。


とまぁ。相変わらずのギリギリ振りをご報告した後でなんですが、今回ご紹介している本2冊は、ちょっとマジメにオススメ本。あ、いや今までもマジでオススメだったですけど、ちょっとマジメな本をマジでオススメてな…日本語難しい。


「手紙屋」は…。
本屋で一気に立ち読みした本で実際自分は持っていませんが、「ああ、こんな本もあるんだな」と妙に納得した一冊。

内容的には就職活動に悪戦苦闘している主人公にスポットをあててるから、就職活動をされている、またはこれからするって方にはまさにビンゴ!の一冊だと思います。

んが。

コツコツ何年も働いてきたベテランさんでも必ず何かしら心に響き、そして頷いたり新たに発見したりするものがあります。

今、沢山出回っている能力開発みたいな本とかみたいな感じではなく、フィクションの物語調で、しかも内容の大半が「手紙」でやりとりってなカタチでの展開で話が進むので、凄く読みやすいし、面白い。

だから。一冊まるっと立ち読みできたのだよ(威張るな)


手紙屋の…。
温かく優しく、そして柔らかで丁寧でありながらも、伝えるべき言葉はシッカリと直球で書いているところがホント凄いなと思う。

何だよ、オマエに俺の何が分かるってんだよ?!会ったこともないくせに!なんてムッとなりそうな言葉も、全くすんなり受け止められる。さすが手紙屋。

てか、この作者が凄いんだけど。



「365日のスプーン」は星の王子様と同じレベルの私のバイブルでござい。

何年も前に購入したヤツですけど、毎日毎年その日その日を読む。

何でもない「だから何だよ?」てな些細なことをポロリポロリ書かれているだけですが、何故かしら凄く心がホンワカし、そして何だか楽しくなれるのです。

人生を楽しく生きるってことは、こうした日々のささやかな楽しいことワクワクすることの積み重ねなんじゃないかなと思うようになったキッカケの一冊です。

大きな大きな将来の夢や希望や目標に向かってひたすらただ頑張るのも素敵なことだけど、その頑張っている今も、ちょっと一息ついて遊んだって誰も怒らない。

むしろ呼吸を整え、疲れた体を走りすぎて痛んだ足を休ませて、そしてまた走り出したほうが絶対うまくいくと思う。

そんな一冊。










「…先に帰られたんじゃなかったんですか?」
俺から先手を打った。インテリメガネはニコリともせずに
「さっきまで一緒に呑んでいてそして同じ方向の電車に乗ると言う事を知っているのに、さっさ帰るのも失礼だろう?それに俺が気になって仕方がない」
あ、そうですか。
俺の理解できないところで律儀で几帳面なこのインテリメガネは、やはりいけ好かないと思いつつも、何故か憎めないし別に嫌いでもなかった。むしろちょっと興味があった。
並んでホームに向かう。

「…何故聞かないのだ?」
「何をですか?」
突如言ったインテリメガネを見るが、彼は真っ直ぐ前を向いたままホームに立っている。え、今話しかけられたよね、俺?と思うくらい真っ直ぐ向いたままだ。
「私が今日、あの場所に居たことをだ」
「ああ…。別に良いんじゃないんスか。普通の飲食店なんだし。別に会員制のクラブとかじゃないし」
ダラダラそう答えながら、あの小さな古ぼけたイカレた飲食店が会員制のクラブとか在り得ねぇー!と想像して何だか可笑しくなった。
「…もう何年も昔の話だが、私はあのモジャと皆に呼ばれている男に会ったことがある」
今日、モジャの態度を見てれば分かったことだし、だからと言ってそのことを話さなかったインテリを責めるつもりは毛頭ないのだが、まぁ、少し気になってはいたので俺は黙って聞いていた。
「モジャだけではない。あの店の店長も一緒だった」
へぇ~それは面白い展開だな。俺は「へぇ~」とだけ声に出して相槌を打った。
「あの店でですか?」
「違う。オーストラリアだ」
へぇー!今度はハッキリと俺は食いついた。インテリメガネは俺をチラリ見る。
「私はまだ学生で語学留学をしていた。学校が終わるといつも決まって立ち寄るカフェがあって、私はそこで少し勉強をして帰るって言うのが日課だったのだが、或る日その店に飛び込んで来た騒々しい男が居て、それがモジャだったんだ」
待っていた電車がユックリとホームに滑り込んでくる。その時初めて俺はインテリメガネの話に聞き入っていたことを実感した。淡々と何でもないことのように話すが、とても重大なことを告白しているような感じがした。

「その時モジャは…。あの店長を探していた。息を切らしてカウンター内に居たその店の店員にモジャは捲くし立てるように何か話しかけていたのを覚えている。バックパッカーよりも随分と汚すぎる身なりだったし、日本人のようでいて、長身であの天然パーマだろう?しかもオーストラリアの大学に留学して半年、加えて英語には元々自信があった俺でも聞き取れないほどとても流暢で早口の英語を捲くし立ててたんだからな。何者だ?とその店にいる皆が呆気に取られていた」
二人掛けのシートに並んで座るとインテリメガネはメガネをクイッと持ち上げ、そして窓の方を見て続きを話し出した。俺に話しかけると言うよりまるで…自分に言い聞かせているような、そんな感じだった。

「ポケットからクシャクシャの紙切れを取り出し店員に見せていたが、その店員もそしてその場にいる皆全員、首を横に振るばかりでグッタリうな垂れたモジャが、店の奥まった席に座っていた私を見つけて飛び掛らんばかりにやってきた。ああ、俺にも何か見せるつもりだなと思い、構えた俺に掛けた言葉はその流暢な英語ではなく、とんでもなく可笑しな日本語だった」
その時のことを思い出したのかフッとインテリメガネは笑う。あ、こんな顔も出来るんだと俺は思った。
「とにかく皆に見せていたものは一枚の写真で、そしてそこに写っていたのが店長だった。モジャは必死に店長を探していた、世界中を。とんでもない人探しだよ、全く」
あの2人が古い仲であることは、ちょっと見ただけでも分かっていたが、そんな過去があったとは思いもしなかったので俺はなんと相槌を打てば良いか迷ったが、俺にはお構い無しにインテリメガネは続ける。

「店長からって言っても当時はまだ店長ではなかったのだけど、まぁとにかく『蝶を探す』と手紙が来たと言う、その知らせをハルタに聞いて自分はニューヨークからココにやって来たのだと言っていた。あまりにも突拍子もない無謀なその行動を、その時の私はちっとも理解できなかったが…」
そこでメガネを取るとインテリメガネはフゥと軽くため息をつき、俺を見た。
「あの時、あの店で。モジャに会ったから今、私はココにいる。そう言う事だ」
どう言う事だよ?相変わらずインテリメガネの言う事は肝心なところが分かりにくい。コレは頭脳の差ってことか!?話を詳しく聞きだそうと俺が口を開きかけた時、
「まもなく駅に到着します~」
いつものアナウンスが聞こえ、タイムオーバー。ん?そういや、前にもどこかで聞いたことがあるな「タイムオーバー」

「あの…。結局はモジャは店長を見つけることが出来たんですよね?」
当たり前のことを聞くのは気が引けたが、これだけは確認しないと気がすまなかった。
インテリメガネは再びメガネをかけると俺を見る。
「見つけられなかったんだ。オーストラリアでは」
まさかの応えに俺は言葉を失う。その時電車は駅に着き、インテリは立ち上がった。俺も渋々立ち上がる。

「それでは、失礼」
インテリメガネは駅前のタクシー乗り場に真っ直ぐと向かう。俺は軽く会釈をし、その後姿をボケッと突っ立て見ていた。
一体…。何があったというのだ?
まるで、そんな夢物語のような過去があった二人には全然見えなかった。極普通にお互い話し、そして笑っていた。むしろあまり話はしていない方だった。
昔は必死になって世界中を追っかけて来ていたモジャの後姿をどんな気持ちで見送っていたのだろうとフト思う。
つうか。なんで世界中なんだよ!?グローバル過ぎてワケわかんねーよ!

そう言えば…。
吐き気や眩暈がしていたハズなのに、そんなのは吹っ飛んでいた。
いけ好かないインテリメガネも、モジャも店長も…。
色んな過去を背負って、色んな思いを抱えながら今夜あの店で集まっていたのだ。言いたいこと伝えたいこと知りたいこと…あったんじゃないのかなあ~。

いや。
俺はフッと顔を上げ空を仰ぐ。薄っぺらい偽物のような三日月が、無駄なネオンの明るい夜空に申し訳なさそうにへばりついているのが見えた。
言わなくても、分かる。敢えて言う必要もない。むしろ何か言ったらそこから全てが崩れてしまうような、そんな関係なのかも知れない。

それならば何故この俺が。
何の繋がりもないこの俺が、今日あの場に居れたんだ?
何だかちょっぴりドンヨリブルーになってしまう。

「友達になってあげてね」
店長はそう言ってたけど、何故俺なんだ?別に俺なんかいなくても皆で勝手にやれば良いじゃないか…。

結局そんな結論に辿り着いた俺は。
それ以来、今度こそ本当にあの店に行かなくなった。

ヘタレで卑怯者の俺は、傷つくのが失望するのが、単に怖かったんだ。
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