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cesta 07

かいしんのいちげき

2019'10.18.Fri
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2009'12.28.Mon


level.49

ずっとずっと…
何かしらの縁でいつも傍に居てくれたキノキノがついに、遠く離れた街へ引越してゆきました。

ずっとずっと…
もう何年も前からこうして離れ離れになることは分かっていたし、だからそれなりに覚悟もしていたハズなのだけど、

でも、頭ではちゃんと分かっていても心が追いついてくれません。
元来、ノンビリ屋でマイペースの私の心が分かってくれません。

母からも相変わらず電話が多く「早く荷解きしなさいよ」「早く落ち着く部屋にしなさいよ」と言われ続けても、まぁ、ボチボチやるさねと暖かくなって来てから動き出すんじゃないかと言うくらい、生活水準に対してもノンビリ屋の私にとって、今年の下半期はあまりにも色んな事がいっぺんに有り過ぎて…未だに現実をちゃんと受け入れきれていない、まるで夢の中のような、水の中のような…そんな日々を送っています。

それでも周りは待ってはくれなくて、仕事は相変わらず息つく暇も無いくらい容赦なく忙しく、フリーパスのYOGAも年末年始のお休みに最近気付いて、何気に後1回くらいは行かないと勿体無いことになってしまう状態だし、洗濯物は山積みで、金は無いから外食もままならず、バタバタとキッチンを掃除したりキッチン用品を揃えたり…。

インターネットの開通工事やら、注文していた大物の配達受け取りやら、電気やガスやらの支払いの手続き…そういや、住民票やらの変更もまだやっていない…会社にも引越ししたこと、言っていない…。

何が何だかもう、本当にワケが分からなくなって、精神的にも肉体的にも限界だったこの週末、運良く週休だったワケでようやくホッと一息つき、元来のマイペースな自分で過ごすことが出来たワケです。

でも。
そうしてノンビリいつもの自分をやっていると、ぼんやり、キノキノといた時間を思い出してしまい、何だか…ポッカリと心に穴が開いている気がして物凄く不安になってしまった。

ようやく自分自身も。
慣れ親しみ眼を閉じていても歩けるくらいの街からこの街に引越しをしたんだと認識出来たのもあり、改めてこの新居を見渡したり、屋上に登って景色を見渡したりすると、何だか全然知らない場所にポツンと1人、居るような気がして自然と涙がポロリ零れてしまったり…。

「ちわーす」
そんな時に限って他の住民(カメラヤロー)がフラリ屋上にやって来たりするもんだから、慌てて涙を拭い、仏頂面で「ちわ…」と答えてアタフタと去っていく私を、このチンチクリンのカリメロは…と言う目でカメラヤローに見られたすると、益々フニュウ~と不安になってしまったり…。

何をやってんだろう、私は…こんなところで。

2階のお店のオニーサンから聞いた、激安スーパーで大量に食材を買って、フラフラとチャリを漕ぎながらそんな思いが駆け巡ったりもしたけれど、だからと言ってどこにも行くことは出来ない。

今の私が生きる場所は、ココしかない。

2つの重たい買い物袋を玄関口にドサリと置くとカメラを掴んで、もう一度、屋上へ駆け上がった。

冬至は過ぎたと言っても、冬の夕方は暮れるのが早いし、夜から雨になると言う天気予報に加えて、この街は以前、私が住んでいた街よりもとてもとても古い街で、街自体の夜も早い。

それでも私は、久々、本当に久しぶりにカメラを構え、まだ腱鞘炎が治らない指でカシャリとシャッターを押した。

今日はその渾身の一枚です。


「良いカメラ、持ってんですね」
不意に声が聞こえ、思わず振り向くと、カメラヤローが屋上の入り口に立っていた。

「良いのかどうかすらも良く分からないほど、カメラには興味ないんですけど、写真を撮るのが凄く好きなんです」
私のナゾナゾのような返答に、困った顔をしたけど近寄ってきて手を出すので思わず持っていたそのニコンの一眼レフを差し出せば、慣れた手つきで構えて言った。

「写真、好きなんですか?」

「ええ、ヘタクソですけど…」

「撮っても良いですか?」
カメラヤローは構えたままそう言うので、別に拒否する理由も無かったのでコクリ頷けば、カシャカシャと何枚か勝手に撮っていた。その姿をぼんやり見ていると、不意に私にレンズを向け、カシャリとシャッターを押すので、ビックリしていると、

「俺、人物専門なんす。笑ってくださいよ」
まだレンズを向けたままそう言ったけど、

「ごめんなさい、まだ今は笑えません。カメラのことは分からないけど、自分のカメラにウソの写真を残すことは出来ません」
私の返答に手を下ろし、不思議そうな顔で私を見ていたけれど、

「さっき、ここで泣いていたでしょう?」
不意にそう言われ、また口をへの字に曲げた私に、

「あの不動産、フレンドリーで良いんだけど、結構お喋りだよね~。こんなビルに越してきた女の子が自分の部屋の下にいるよって教えて貰っていて、どんな人なんだろうって気になっていたんだけど、ワケ分かんない果物をイキナリ持って来るわ、こんな寒い日に屋上に突っ立っているわ、そうかと思えばバタバタとまた戻って来て写真撮っているわ…ほぼ初対面の人間が向けたカメラに愛想笑いの1つすら拒否するわ…。ま、こんな所に越してくる人たちなんて、尋常じゃないってのがフツー何だろうけど」

「ヘンタイですみません…」
謝りながらも仏頂面の私に、またカメラのレンズを向けた。

「俺、街中で女の子の写真を良く撮ってんですけど、大抵の女の子がワケ話してレンズ向けるとそれなりにテンション上げてポーズ取ってくれたりするんだけど、こんなにただ突っ立って、しかも酷い顔した女の子の写真撮るのも面白いかも~」

「写真撮るのは好きですけど、撮られるのはニガテでもあるんです。そろそろ返してくれません?」

確かに、こんなイカレた古いビルをワザワザ選んで住み着く人間なんてイカレた尋常でない人間ばかりだなと、その点では同意しながらも、折角、何とかモチベーション上げて頑張って行こう!と思ったその瞬間の空の写真を収めたかっただけなのに、何故ゆえにこの疲れ果てて酷い状態の私の姿を私のカメラに残されないとならんのか!?と…。プロが撮ってくれたとは言え、撮られたくないものは撮られたくない。

奪い取るようにカメラを引っ掴むと、流石に気まずい表情をしたので、

「昨日、とてもツライ別れをして、そして今日、その別れをジワジワと実感してきて、何だかめっさ、不安だったんです」
そうボソボソと言った私に、

「良かったら俺の写真、見てくれません?」
少しホッとした顔でカメラヤローは言った。

毎晩のようにドタンバタン、ガシャーン、そしてズゴゴゴーギュイーンと何をやってんだ?!と思っていたその現場は、初めてみる写真の現像場?で、凄いなと素で思った。

そして本当に可愛らしくステキな女の子ばかりの写真ばかりで、こんな写真を見せられても何も感想言えないな…ヘタに可愛いね、この子とか言うのも何か可笑しくね?と思って無言の私に、

「笑えるときで良いからまた屋上で写真撮らせてくださいよ」

そう言いながら差し出した洋ナシは、紛れも無く私の引越しご挨拶の時のモノだった。

「…せめて皮むいてくれませんか?」



高校に入学してから出会ったあの時から。
必ず別れが来ることはバカな私でもちゃんと分かっていたし、今日までだって沢山の色んな別れを経験してきた。

それでも。
今回のキノキノとの別れは今までのモノとは全く違っていて、だからどう受け止めれば良いのか分からず、そしてこんな無防備な私はちゃんとこれからも私として生きて行けるのか?と不安でたまらなかったのだけど、

でも、生きていれば、別れもあってそして、出会いもある。


包丁がなく、何だかアヤシイナイフで意外にも手際良く丸ごと皮を剥かれた洋ナシを再度手づかみで受け取り、ムッシャムッシャと食べながらキョロキョロと作業場を見ている私を、

「やっぱ、このビルを選んだ人間はハンパねぇな…」

ボソリそう言ったカメラヤローに対して、オマエもな。そう横目で見ながら思った私は、ちょっとだけ、元気になれた気がします。


明日からも頑張んべ!


※ようやく我が家にネットが繋がりました。ケータイからだとコメントお返事操作がカナリややこしくて中々返せておらず本当に申し訳ございません。
こんなチンチクリンブログにコメントを頂けるなんて先ほど確認してぶっちゃけビビっております…あばばー!
本当にありがとうございます!
そう言いつつ…お返事は明日必ず!!ハイ!!


明日も皆様にとってシャンティな1日でありますように☆





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