※ぎょーむれんらく。

※結局…。宿をどうすっかがまだ全然決まってないんですけど、とりあえず明後日の朝から一泊二日の小旅行に出掛けます。ＵＰは…う～ん、考え中。余裕があれば。
時間が足りないー！うがー！！「なんかのさなぎ」を久々見たらハマってしまった…不覚っ！




カウンター席のスツールに腰掛けて俺は黙々とデザインを考えていた。店の中は来月で今年も終わりと言う事もあり、結構混雑している。狭い店だ。１人で2人席、まして中二階のソファー席を使えるワケもなく、俺は仕方なくカウンターの隅に追いやられていた。
「仕事なら家でやれば？」
俺の後ろを通りながらハルタがボソリ言う。
「ムラサキに頼まれた仕事なんだよ。ほら、毎年恒例のクリスマスディナーのメニュー表とお得意さんに配るクリスマスカードのデザイン」
サラサラとノートにラフ画を描きながら俺は答える。ああ、とハルタは言った。
「そうか、もうそんな時期かあ～って、あのメニュー表とクリスマスカード、キザサワが描いてたの！？」
「…今頃かよ」
俺は少し呆れながら振り返ってハルタを見る。予想外にすぐ傍からハルタは俺の手元を覗き込んでいたので一瞬ビックリした。
「うわっ！近いよ、オマエ」
ハルタはムッとした目で俺を見るとプイッと接客しに去って行った。
「あ～。ようやく一息ついたわ～」
首をコキコキ鳴らしながらムラサキが厨房から出てきた。
「あ？もうそんな時間か？」
俺は顔を上げ、振り子時計を見る。オーダーストップはとっくに過ぎていた。
「いつも悪いわね、キッシー」
「別に。俺で良ければお安い御用」
カウンター越しに俺はラフ画をムラサキに渡す。
「どれどれ～。あ～良いんじゃない！？これでお願いします」
「早っ！もっと何か言えよ」
「だって…良く分からないんだもん。そうだ！うちの通常メニュー表も変えてくれない？」
「…あれはあれだから良いんだろうが」
俺は煙草に火をつけた。
「…ま、メニューの中身も中身だしね」
あははーと笑いながらムラサキは頭を掻く。見た目からは想像できない、意外にワイルドで大雑把なこの性格な故に、1人で店を切り盛り出来てんだろうなと思う。
「だからこそ！クリスマスのメニューは頑張ってんのよ、私！偉いでしょう？」
「…普段は頑張ってないって暴露してるぞ、それ」
「クリスマスプディング、早く食べたいなあ～！」
ムラサキは叫ぶとウットリ眼を閉じる。オマエが作るんだろ…？てか、準備してんのか？
「そういや、ムラサキ。何でクリスマスプディングには銀貨とか指輪とか入っているワケ？アレって結構危険じゃない？」
客達の皿やらを下げながらハルタが言う。
「イギリスの伝統行事なのよ。それにほら、入っていた方がワクワクドキドキするじゃない？」
「…色んな意味でハラハラドキドキはするけどさ」
意外なところで几帳面なハルタは眉をひそめつつ、ふと気付いたように言った。
「そういえばキザサワっていつも左薬指に指輪してるよね？何？何かのおまじない？ってか…もしかしてアンタ、結婚してんの！？」
普段、意識的に忘れようとしていたことをズバリ指摘されて俺はギクリとした。咄嗟に右手で左手を覆う。
「あ、いや別にこれは…」
「ハルタ、レジお願い」
ヤンワリとだが、それでも有無を言わせない声でムラサキが言った。
「あ、はーい」
パタパタとハルタはレジに向かう。俺は思わず小さく息をついた。
「…ごめんね」
呟く声に俺は顔を上げる。困ったような笑みを浮かべたムラサキの表情に俺も気まずい。
「ムラサキが謝る必要はねぇ。そしてハルタにも罪はねぇ。悪いのは俺だ」
しばらくの間、ムラサキは黙っていたが、
「もうそろそろ良いんじゃない？」
泣きそうな、頼むような、それと言って誰に向かって言うわけでもないような…そんな小さな声で呟くとカウンターの簡易椅子を片付けた。
「さてと。もうひとふん張り！あ、キッシー、コーヒーお代わりする？」
いや…と答えながら俺も立ち上がる。そろそろ帰るわ。
「そう…。気をつけてね」
「ああ。あ、デザインはコレで良いんだな？」
コクリと頷くのを確認すると俺は鞄を持ち、店を出る。
外は。
この冬最初の雪が舞っていた。


※続きは全く考えておりません。