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cesta 07

かいしんのいちげき

2024'11.05.Tue
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2008'07.16.Wed



level.43


「生きる」ってこういうことなんだよなと。


地球をグルリ、一周して探していたものの1つを今日、見つけることが出来ました。


私の話を「凄い凄い」と夢中で聞いてくれたけど、な~んも凄くも何もなくて、むしろ情けない私のその「凄い」旅路の目的の1つが実は、今、こうして私が見ているアナタの姿なんだと言う事を伝えたいけど、でも照れくさくて…。バカみたいに写真を撮るしか出来なくて。



人が生きると言うこと。「人生」と言う旅。そしてその旅の終わりは死ぬと言うこと。

でも終わりだからと言って何も無くなるワケではないと言うこと。

終わりは始まりでもあると言うこと。繋がっていくと言うこと。


決して。
あったことがなかったことにはならないと言うこと。


それを実証してくれているアナタこそ、「凄い」と言うこと。



何年振りだ!?と言うこの街。アナタたちに会いに行っている途中…、

一緒に歩いた通学路、一緒に遊んだ近所が、変わっていなくてもやっぱり沢山変わっていて、何だか記憶が混乱し、アレは夢だったのだろうかと思ったりもしたけれど、

やっぱり過去は夢なんかじゃなく、そして未来もきっと夢なんかじゃない。


この現実の「今」がそれを確証してくれている。



「良い友達を持っているね」と言ってくれたアナタに、誇りを持って「そうだね」と同感できるのも、みんなみんな、


アナタが私に声を掛けてくれて、一緒に帰ったあの日…。

アナタに会えたと言う、過去の私があるから、今、私は、涙が出るほど自慢し尽くしたい、掛け替えのない素晴らしい友人を得てくることが出来たのです。

数は少ないけど、でもみんなみんな大切な大切な友人達です。




本当の「友人」と言うのは、どう言うことかと言うことを教えてくれたアナタは、私にとって1番最初の、

「親友」です。


ずっとずっとこれからも…「お母さん」になったアナタも、

そしてきっと「おばあちゃん」になるだろうアナタも、


私のこの、「人生」の旅路で出会った最初の、

「親友」です。


出産、本当にお疲れ様でした。そして本当におめでとう!






















完全に沈みきる前に俺たちはタクシーを発進させた。
夕日を見たがっていた店長よりも迎えに来た俺の方がまだぼんやりしている。この辺りは唯でさえ道が危ないのに日が落ちると真っ暗になるからと、あっさり店長は身支度を整えさっさと先に下へ降りてゆく。今、こうしてタクシーを運転しているのも店長だ。
「たまにはね、良いでしょ?」
アッサリ店長とは反対に、抜け殻のような俺に店長は言う。コクリと頷くことしか出来ない俺を店長はコロコロと笑った。
その夜は街まで帰るのも危険だと言う事で、来るときに寄ったお婆さんの家に泊めて貰う事になった。散々勝手に使わせて貰ったタクシーの持ち主の運ちゃんも当たり前のように一緒に居る。この人…家に帰らなくて大丈夫なのかな、マジで。
お婆ちゃんと楽しそうに台所で料理をしている店長の後姿をぼんやり見ていると、その運ちゃんがやってきて将棋でも打たないかと誘ってきた。縁側で片手にウチワを持って将棋を打つ。蚊取り線香の匂い。時折チリンチリンと鳴る風鈴。それに合わせるかのように鳴く姿の見えない数々の虫の声。日本の夏だなと何故か思った。
そうだ、もう夏なんだなあ…。
仕事に追われているとあまり季節感を感じなかった。確かに夏になれば外回りは過酷だし、同じように冬も辛い。だけどそんなことにイチイチ、構っていることなんて無かった。正月と盆くらいは休みだがそれもグウタラ過ごしていればあっという間に終わる。小学生の頃、あんなにも途方もなく長く感じた夏休みを妙に懐かしく感じた。
「もう明日は帰ってしまうんじゃの~。もっとゆっくりして行けば良いもんを~」
パチンとコマを打ちながら運ちゃんが言う。
「仕事がありますから」
同様にパチンと俺は答える。
「兄ちゃんは何の仕事をしてるんかぇ?」
「メーカーの営業です。しがないサラリーマンですよ」
はははと笑いながら俺は答える。
「ほぅ、立派じゃのう。その仕事は好きかぇ?」
「え?」
俺は将棋盤から顔を上げ、運ちゃんを見た。運ちゃんはユックリとウチワを仰ぎながら将棋を見つめている。剥げた後頭部が目に飛び込んで来た。
「好きかぇ?って聞いてんじゃ」
「えっと…。まぁ、仕事ですから、好きとか嫌いとか…あまり考えたことがありません」
「そうか~。おっと、ちょいと待ちぃ!」
運ちゃんはそう言うと、う~んと腕組をして考え出した。俺は言う通りに将棋盤から眼を離すと夜空を仰いだ。少し膨らんだ半月がポカリと浮んでいる。
「ワシもなあ、若い頃は都会でサラリーマンしとったんじゃけど…」
不意に運ちゃんがポツリ話し出した。俺は視線を夜空から彼に向ける。相変わらず腕組したまま将棋盤と睨めっこしたままポツリポツリ独り言のように話をしていた。
「学生の頃からずっと傍にいてくれたカミサンがのう、癌になっちまってのう。結婚前に一度だけ遊びに来たことがあったこの島にもう一度行きたいと言い出して。当時ワシは仕事が楽しくて仕方なくてのう。カミサンの最後のワガママくらい聞いてやろうと此処に連れて来たが、療養所にまかせっきりでな、結局大した世話も出来ないまま、カミサンは1人であの世に行っちまったよ」
俺は何も言えなかった。何を言えば良いのか分からなかった。
「なくして気付いたよ。どんなに大切な存在だったのか。それ以来、ワシは仕事を辞めてこの島でタクシーを運転しておるんじゃ。何故にカミサンが、たった一度しか来たことがなかったこの何もない小さな島で自分の終わりを迎えたのか知りたくて。今じゃこの島1番のタクシードライバーじゃよ。裏道も獣道も何でも任せんしゃい」
ようやくパチンと駒を打ち、運ちゃんは顔を上げた。
「なくす前に気付くことをオススメするよ。中年オヤジの下らんお節介じゃ」
「…ありがとうございます」

翌朝。
大量に野菜やら料理やら…そして肝心の小麦粉が大量に入ったダンボールを抱えて俺達は小さな空港へ向かった。ダンボールを預け、手続きを済ませると俺達は別れの挨拶を交わす。
「またいつでも遊びにおいで」
空港まで律儀に送ってくれたお婆ちゃんとそして運転手のゲンさんがにこやかに言ってくれた。
「今度は将棋、勝たせて頂きます」
俺の声にゲンさんはウンウンと頷いた。
「今度はハクも一緒に連れてくるね」
店長の言葉にお婆ちゃんが眼を細めて微笑んだ。

こうして俺は。
思いもがけず滅茶苦茶な飛び降り方をした人生初の清水の舞台を、何とか無事に着地しようとしていた。


※次回がようやく最終回です。あ~長かった。
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