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cesta 07

かいしんのいちげき

2024'05.05.Sun
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2007'12.07.Fri


level.41

今朝。

マンションの非常階段のところで出会ってしまった。

ここ数日…声は聞いていた。でもまさか出会ってしまうなんて思いもしなかった。近所の人が、元気な猫を飼い始めたんだ…そのくらいにしか思わなかった。


どうにか、したかった。
どうにも、出来るわけないのに。


あれきり、会ってはいないけど、夜中の今でも時折、声が聞こえる。きっと私と同じようにこのマンションの非常階段を利用した人が偶然出会ってしまったんだ。


全身の毛を逆立てる程に警戒して、物凄い小さい体なのに絶対に近寄ることなんて出来ないあの子猫は、

この寒空の下、今でも必死に自分の命を守ろうとしている。



とてもとても可愛い顔をしてたので、保護して飼い主見つけて、どうにか安全で暖かい場所だけでも確保してあげたくなり、真夜中の今、玄関に向かったけど、それ以上足が進まなかった。

じっと玄関に突っ立っている私の足元に、
先ほどまでヌクヌクと布団に丸まっていた我が相棒が、寝ぼけた顔でニャッニャと短く小さな声を出しながら駆けてきた。

こんな夜中に出て行くのか?それならさっさと行きやがれ。そんなにボサーと突っ立ってると気が散るじゃないか?

そんなことを訴えているような顔。いつも予想外の動きをする私に、コイツはスッカリ慣れきっている。


フラリと出て行ったきり何日も帰って来ないことはあっても、まさか、
自分の体の半分にも満たないような小さな体のくせに、人を見れば近所いっぱいに響く大きな声を上げて警戒する子猫を連れてこようなんぞ、これっぽちも思っていないだろ。


不意に気が抜けて私はストンと玄関の前にしゃがみ込んでしまった。
相変わらずワケ分かんねぇ~。そんな呆れた顔をしながら相棒は部屋の中に入って行った。


結局。
この狭い我が家は、私と相棒のいつもの風景だ。

日が昇り、朝が来ても、
日が沈み、夜がまたやって来ても、
冬が過ぎ、春が来ても、

同じだ。



ふてぶてしい顔をして、暖房器具を一切つけていないこの部屋でトグロを巻いて毛布の上で寝ているウシ猫と出会ってもう10年近くになる。

まだ5年位かと思っていたけど、この前友人と話していてちゃんと数えるとその位の年になり、正直驚いた。


小さくてガリガリで…。ノミも一杯いて…。

当時。
実家で犬を飼っていた。可愛くない犬で、たまにしか帰って来ない私には、帰って来て久々顔を合わせたその時は、必ず吠える嫌なヤツだった。オマエ、ワザとやってんだろ!?ムキー!と思って、そのホッペタを両手で引っ張ったりもした。

そんな、可愛くない犬だったけど、でも私には家族の1人で、だからペットと言えば「犬」だった。「猫」なんて想像もつかなかったし、別にどうでも良かった。


そんな私だったから、この10年近く付き合っている相棒の子猫のときの写真は1枚しかない。しかもグーグー寝ている写真。可愛くない。


ごく一般の。
猫を飼っている人間が、そのペットの猫とどのように過ごすのかなんて知らない。
でもおそらく、私は猫の飼い主として最低のランクと思う。遊んだことなんてないから。

年に何回も家に戻らないし、今年なんて…、
2ヶ月以上も放っぽりだして、友人に世話を頼んでいた。


でも。
私はこいつの写真を初めて撮ったあの時に「覚悟」したのだ。

どんなことがあってもオマエが死ぬまで、食べ物と住居だけは与えてやると。


旅立つとき…。
もし、私の方がオマエより先に死んで、この部屋に住めなくなっても多分…大丈夫。私を待ってくれている私の仲間はオマエを見捨てたりはしないから。

まるで自分に言い聞かせるようにして部屋を後にしたのを覚えている。

酷い飼い主でごめんな。




私は。
この相棒を通して、命の重さを知った。

簡単に「命」を自分のこのちっぽけな両手で抱えきれることが出来ないことを私は知ってしまったのだ。


凄く可愛い顔をしていた。あんなに全身で警戒しなければきっとスグに飼い主なんて見つかる。

でも。
私にはこの部屋にあの子を一時的でも入れることが出来ない。

酷い飼い主だけど、そんな私が抱えきれるのは私とふてぶてしい老猫の命で精一杯なんです。


飼い主とか、飼い主じゃないとか、そんな肩書きの前に、1人の人間として、

本当に私は無力な人間だと思った。
たった1つの小さな命に手を差し伸べることも出来ないのだ。



あの時した「覚悟」が、今のこの私を造ってしまった。そう思う。
だから同時に、「命」の重さをこの約10年で思い知ることになってしまった。
だから手を差し伸べられない。


生きて欲しい。

ただそう祈ることしか出来ない。


足が冷えたので電気ヒーターのスイッチを入れた途端、まだ全然熱を帯びていないのに、ちゃっかり前に陣取っている相棒を見て思わず笑ってしまう。

私のことなんて一個も聞かず、何度も同じことを言わせやがるくせに、この電気ヒーターは温かいものだと言う事を覚えてやがる。

全くふてぶてしいにもほどがある。


「外の気温に比べたら、こんな部屋、常夏だぜ!?しかも勝手に今までベットでヌクヌクしてたくせに」

足で相棒のお腹を軽く押してヒーターの前から動かしたら、思い切りまた引っかかれてしまった。


生きて欲しい。

あの子猫も、このふてぶてしい老猫も。
そして私も、アンタ達より長生きできるように頑張ります。


生きて生きて、抗っても這い蹲っても、生きて欲しい。
何も出来なくてごめんね。
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もしかしたら…
スナさんのような考え方を
世界中の人が持っていたら…
このように、外で鳴いている猫には
出逢わないかもしれませんね。

動物を飼いたい…って気持ちと
実際に飼っていけるって気持ちは
全く別物。
命の重さ、その子を全部受け入れる勇気、
それを実際に分かっていなければ…
安易に可愛そうだから…という理由だけでは
自分の手元に置いておくことはできませんからね。
りょう☆412: 2007.12/09(Sun) 11:37 Edit
りょうさん。
こんばんわです、りょうさん。
友達に聞いたり、ネットで飼い主探したり、張り紙したり、獣医さんにお願いしたり…。色々方法はあると思うんですね、里親探し。自分が保護したから必ずしも自分が育てないといけないってことはない…そうも思ったんですが、家に入れたらどうなるか、自信がなかったんです。うちのバカ猫が苛めちゃうかもしれないし、凄い子猫だったからご飯やトイレも大変だろうし…。ただ私がこの子に構ってあげられる器を持ち合わせていなかっただけなんす。お恥ずかしい話です。
人も動物も植物も…命の重さは変わりません。せめてもと思い、全国の里親情報交換の掲示板のHPを見つけたのでリンク貼りました。良かったら覗いてみてくださいな。
2007/12/09(Sun)
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