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cesta 07

かいしんのいちげき

2024'11.08.Fri
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2007'08.21.Tue

 

1.JPG
level.1

前回、前々回にも書いたように、ちょっと…。
今、この「cesta」にイマイチ身が乗らない。本当に行って良いのか…!?そんな考えがよぎっては、何もする気に起きない。
無理やり、頑張ろうとするけれど…何だか中途半端になってしまう。

そんな中。
久々、親友のお宅へフラリ、行って来た。
私の留守中に、色々とサポートしてくれると言う、もう何もかもに置いて信頼できる頼もしい友人だ。

「もうすぐだね!」
友人はそう言ってくれたのだが、TVにはつい最近、炎上した飛行機が映し出されている。

「…こんな事故があるから、益々ヤバイよ」
私の発言に、友人は話を聞いてくれた。親とのわだかまり。未だに冷戦だ。

そんなちょっとテンションが低い私を察してか、友人は1冊の「ぬりえ」を持って来てくれた。
「これ…。随分昔にsunaが娘にくれたんだよ」

1つも記憶になかった。ペラペラの薄い、ぬりえと言うより、何かの簡単なプログラムとか、レジュメとか…そんな、ちゃちなその冊子をパラパラと開いてみるが…一向に思い出せない。

「え!?本当に私!?いつ!?」
「さあ…。私も良く覚えていないけど、でも確かにsunaが『○ちゃん、ぬりえだよ~』って持って来てくれたんだよ」

良くよく考えてみると…。
その友人の娘がまだまだ幼い頃、今ではこんな私だが、誕生日くらいはそれなりに何かしらプレゼントしていたのは、うっすらと思い出した。

が。
友人が言うには、別に誕生日とかそんなイベント事があった日ではなく、いつもと同じように私はやってきて、そしてポンと何気なく渡したのだと言う。

そのちゃちなぬりえは…。
左側が出来上がり図で、右側が線だけの、白黒。でも、1つも塗られていなかった。

「何だか勿体無いし、とても可愛いからどっかに飾ろうと思ってて…そのまんま」
そんなことを友人は言った。

「私、何か言っていた!?」
「…う~ん。ホント、別に何でもない感じだったから…良く覚えていないけど、へえ~、suna、こんなのが好きなんだって思ったのは覚えている」

その冊子の絵たちはどれもこれも…
私が今、まさにイメージしている感じそのものとビンゴ!だった。

何かヒントはないかと思って、題字と思われる表紙と、ちょろっと何かしら書かれている裏表紙の文字を必死に追うが…なんせ、日本語でもなければ、英語でもない。どこの言葉だ、これ!?

「ちょっとこれ、借りても良い?」
私の発言に友人は快く承諾してくれた。

まだ。
きっと何も考えてもいない頃の話であるのは確かだ。
ただ。
何気なく、いつもと同じように淡々と生きていた頃だ。
今、私の頭を占領していることなんて、1つもなくて。

それなのに、私は…。

帰宅してから…。
英語でもないから多分ちょっと違うだろうと思いつつ、表の字をアルファベットで入力してネットで検索してみた。
勿論、日本語のページは1つも引っかからない上に、英語のページすら1つもない。
とりあえず、その中の1つを開いてみた。

結局、内容がサッパリだったし、このぬりえの絵も1つも見つからなかった。何個か他にも開いてみるが、結果は同じ。
ウンザリしてきたとき、私はある共通点に気づいた。

チェコだ、これ。

検索に引っかかった全てのアドレスの最期が「CZ」 チェコだ。
それに気づいた次の瞬間、開きっぱなしだったあるサイトの中から、決定的な言葉を見つけた。

「Praha」

なんてことだ。

結局は…何1つ思い出せないままだ。私が、いつ、どこで、何を思い、これを購入したのか、さっぱり思い出せない。
でも。
そんな何でもない時の私が、友人の娘にプレゼントなんて滅多にしない私が…。
これを選び、渡していた。

何だか…凄く、衝撃を受けた。

過去の私からのメッセージのような気がした。
何も意識をしていない、そんな状態でも私は、本能的にこれを選んだんだ。

ちなみにチェコのプラハには約2週間滞在する。訪れる街の中で1番長い滞在だ。

チェコにはやはり…。私の求めている「何か」がある。そう思った。
その「何か」をちゃんと見つけてきてよ。そう過去の私が言っているように感じた。

もう、行くしかない。この足で、この目で「何か」をちゃんと探し出さなければならない。
それが私の運命だ。

この。
結局は謎のままのちゃちな「ぬりえ」が、私の心を動かした。
膝を抱えてうずくまってしまっている私の背中を、この「ぬりえ」を持った私がトントンと叩いた。

行こう!


親愛なる友人へ。
あなたの娘にプレゼントしたものですが、暫くこれを借りても良いですか?
この「ぬりえ」を手がかりにしてみたいのです。
1つの…。私のこの「cesta」に必須アイテムの1つとして、持ち歩きたいのです。
必ずまた。この綺麗なままで返すから。
そしてその時は…。
もう1つ、この「ぬりえ」以上の素敵な贈り物を一緒に渡したいと思ってます。
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2007'08.20.Mon
level.1

どんどん…。
今の環境が劇的に変化しようとしているのを実際に、現実的に目の当たりにしている今、どうしても今1つ、テンションが上がらない。

マリッジブルーと言うのはこんなもんなのか!?(結婚しないけど。ってかしたくても出来ないけど…)

未だに…。
分かり合えない家族との冷戦も関係しているし、とにかく暑くてだるいし、仕事もラストスパートに向けて忙しいのか忙しくないのか良く分からない、慣れない引継ぎ業務に疲れるし…。変えたくもないケータイの機種変もしないといけないし、いくらやっても覚えない語学にほとほとウンザリするし、痛くもない歯医者に行くもの何だかなあ…と結局たぶん行かないし…そんなこんなで何だかやる気が起きない。

旅の準備だけでなく、家事にしても、何にしても…。

そんなだらけたダメ人間のような状態でも、ただ1つ、積極的に取り組んでいるのが読書。
それも、恋愛小説でもなければ、ファンタジーでもなく、コメディーでもない。

歴史モノ。司馬遼太郎の「竜馬がゆく」
今まで自分が読んだ小説の中でも1番長い、全巻8冊の、長編。
その最終巻を今、読んでいるって言うか、これしかしていない。

昔、中学生の頃、父親のを勝手に読んだことがあったけど、結局は読破しなかった上、内容を殆ど把握してなかったので、今、改めて読み返してみると「ああ、こんな内容だったんだ」ととても新鮮に感じる。

司馬遼太郎は「燃えよ剣」を今年の5月に、ちょっとした成り行きで軽い気持ちで読んだのだけど、あまりにもの衝撃で…。同時に、あの頃結局読破できなかった「竜馬がゆく」もちゃんと読んで見たくなって6月くらいから読み始めている。

主役の竜馬は…はっきり言って長生きをしていない。それなのに1冊1冊が結構の厚さがあるくせに、全巻で8冊もあるのは、竜馬を取り巻く周りの人々のことも細かく書かれていて、時折、竜馬はそっちのけで話が進んでいるからだ。
それがたまにつまらなくも感じたけど、でも客観的にその幕末の凄まじいほどの変貌と、その流れの中を必死で泳ぐ人々、そしてそのそれぞれの思いが、その渦の中心部にいる竜馬を一層、惹き立てていた。

「日本一の男になりたい」
何気にただ、そう軽く言っただけの、武者修行の為に土佐の田舎から上京した若い竜馬は、結局は、刀ではなく、法や思想、商いなど、その当時の人では決して考えもしなかった様々な考え方、方法で日本一になった。

決して、学があったワケでもなく、身分も地位も何もない。ただの浪人が、今の日本の基礎を作ったのだと思うと、まるで手品のようなそんな胡散臭い気持ちにもなるけれど、種明かしをしてみれば…、

柔軟な発想と、自分の心に正直でそして、この世に生きるもの全てを愛そうとするその、無邪気で真っ直ぐな性格が、周りの人々の心を魅了し、時代を変える大きな力となったのだと思う。

「ホラ吹き」と言われても、帰る場所を失っても、それでも彼は走り続け、そして彼の1つの夢をちゃんと実現させたのだ。

もし…。
もう1つの夢も叶えていたら…と思うと、今の日本は一体どうなっていたのか…!?想像がつかない。

まるで天が、どうすることも出来ない混乱を収める為に遣した使いのようだと司馬は閉めている。そう。先ほどこの8巻を読み終えてしまった。

でも…。
確かに、竜馬は真っ直ぐ自分の道を懸命に、命懸けで走り抜けた、本当に凄い偉人だと思うけど、でも…。

誰にでもその可能性はあるんじゃないかと思う。

ただ、竜馬や…先に述べた「燃えよ剣」の主人公である土方のように、強い自分の信念を持ち、それを貫き通しせるかどうか…なのではないだろうか?

誰にだって、
夢や希望がある。それぞれの思いがある。

でもその「思い」を病的なまでに、ストイックに信じ続け、そして周りの人々の心までも虜にし、動かすほどのパワーを持ち続けることが出来る人がただ、そんなに存在しないだけの話。なのではないだろうか?

「動機」が大切なのだと思う。
その場限りで盛り上がった「動機」であれば、必ずいつかは壁にぶち当たる、敵に遭遇する。そしてそんなまるで「きのぼう」に「もめんのふく」のような動機しか持ち合わせていなければ、いつまで経っても壁は乗り越えられない。何度挑んでも敵は倒せない。

あ、もう…何か面倒だから良いや。それで終わってしまう。

今。
まさに私がその状態だ。
テンションが上がらないで悶々としてしまうのは、モチベーションが低いからだ。

この旅をする!と決めてからもう…1年以上経つ。ドンドン積極的に動いて来ていたのに…この直前になってコレだ。

自分にはやはり…ムリなんじゃないか!?もう十分なんじゃないか?結局はどうしたいんだ?
そんなマイナス的な、消極的なことばかり。

これは自然なことである。
何か目標に向かっていると、必ずぶち当たるものである。
この時期こそ、どうやって乗り越えるかが、その先を大きく左右するのだ。

鬼の副長の土方も、泣いた夜がある。
無邪気に笑う竜馬も、怒りに震えたことがある。

それでも彼らは走り続けた。
高いモチベーションが、彼らを支えたのだと思う。

私の、モチベーションは何なのか…?

司馬遼太郎のこの2作品を読む機会があって、本当に良かったと思う。
もっと早い時に読めていたら…そう、欲張ってもしまったけど、でも…今、この時期の私だったから良かったと思えるのかも知れない。

ホンの少し…。
早くても遅くてもきっと、これほどまでに様々なことを考え、思ったりはしなかったと思う。

土方も竜馬も。
とても若くして亡くなってしまったけど、そしてその最期はどちらも本当に悲しい無念な状況だったけど、でも決して司馬先生はそのようには書いていない。

心の弱い私には…まだまだ未熟なモチベーションしかなくて、同じところをあたふたあたふたしている状態だけど、
でも、諦めず自分らしく、進んでゆこうと思う。
ゆっくりで良いから。迷っても良いから。

焦らず、しっかりと。自分らしく。
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