2009'05.04.Mon
level.47
会社の近くの公園の。
ちょっと茂みになっている場所で寝転んでいたらば、
「何やってんの…?」
とメガネ上司が覗き込んでいた。
「空見てたんですけど」
ムクリと起き上がり、何事もなかったかのように言えば、
「相変わらずおかしな人だなあ」
何がおかしいのかサッパリだったけど、コンビニで買っていたカフェモカをチューっと黙って飲んだ。
全国に当たり前に存在するこの会社では。
「規則」や「規律」などの「ルール」で成り立っている。その「ルール」がないとこの会社は何1つ動くことができないのだ。
その「ルール」の罠にスッポリとはまってしまってバカみたいなトラブルで、
「ルール」の1つである休憩時間を全く取れず、ようやくカタが付いた後、コッソリと抜け出して食事をしていた私を、
同じくその罠に道連れとなったメガネもコソッと抜け出したこの時に見つけたのだ。
私の隣に腰を下ろしたので、スーツが汚れると慌てた私に、ニヤリと気持ち悪い顔を向けたので、それ以上は何も言わず、カフェモカを飲んだ。
「小さい時にですね」
不意に話し出した私を、モサモサと好物のパンを頬張りながら見ているのを横目で見、
「転校ばかりしてたんですけど、友達がちっとも出来なくて。県外の転校だったから方言が恥ずかしかったってのもあるけど、元々自分から話しかけるってのがニガテなタイプでもあったんで…」
眼を丸くしているメガネに「ホントですって」と念を押し、
「春に転校が多かったんですね。それでこの季節は学校帰りに良く一人でこうして寝転んで空を見ていることが多かった」
メガネは黙ったままなのはいつものことなので私は気にせず続けた。
「春の空は季節の中で一番優しい色をしてるんですよ。見慣れているのもあるのかも知れないけど何だかホッとします」
体育座りをしたまま空を仰いだ私と一緒にメガネも空を仰いだ。
「それに春の草花はとても鮮やかで、そしてとても柔らかくて、こうして触れると元気を分けて貰えます」
今度は地面に目線を落とした私に再びつられて目線を下に落としたメガネを見て私は言った。
「さっきは、すみませんでした」
缶コーヒーをグビグビ飲んでメガネは言った。
「仕方ないさ、『ルール』だもの。それにスナさんは間違ってなかったよ」
「ルール」なのに、どうしてこんなに煩わしいと感じるのだろう。
「ルール」なのに、どうしてこんなに疲れるのだろう。
ニョキニョキとビルばかりが建っているこの街の空は、
私をいつも支えてくれていたあの頃の空とは比べ物にならない程小さくてそして頼りなくて。
アスファルトばかりで申し訳なさそうに咲いている草花は、
私の居た田舎の原っぱとは違って儚くてこうして触れることすら躊躇われて。
でも…。
「理不尽なことばかりだけどさ、」
タバコに火をつけながらメガネは言った。
「大丈夫だよ」
私のトラブルだったのに、
文句一つ言わず、愚痴一つ言わず、勿論私を責める事も逆ギレすることもなく、ただ、
必死に頭を下げてくれた、私なんかよりも幾つも若いこの上司は、
ついでに私を励ましてもくれた。
ダイジョウブダヨ。
「何が…ですか?」
「え?あ~何か?」
「何が?」
「だから何かだよ」
「サムシングですか?」
「そう、サムシングだよ」
明日も明後日も…ずっと。
この場所にいる限り、理不尽な「ルール」に雁字搦めになってバカみたいに必死こいているのだろうけど、
でも思うに、
別にこの場所だけのことではなくて、どの場所にだって「ルール」は存在し、そして皆、理不尽な思いを抱えながらそれでも笑って頑張っているんじゃないかと…。
そしてそれは「諦める」ってことでもなくて、「ルール」があるからこそ、「自由」の存在を確かに感じることが出来るのかも知れないとも思う。
「あ~、こうして外で寝転んだのいつ振りだ?」
スーツの上着を脱いでゴロリと横になったメガネはオッサンのような声でそう言った。
「たまには良いでしょう?」
そう言うとまた気持ち悪い顔でニヤリと笑ったので、黙ってカフェモカを飲んだ。
今頃皆、キィキィ仕事してんだろうな~。
そう考えると、さっきまで死ぬ物狂いでグッタリと疲れ果てていた分、何だかちょっと元気になった。
明日もきっと大丈夫。
たぶん…。
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2009'05.02.Sat
level.47
昨夜はマンガを読みながらベットに転がっているとそのまま眠ってしまって気付いたら朝になっててそのまままたマンガを読んでたらいつのまにか眠っていて再び気付いたら昼になっててお腹が空いてたから仕方なくベットから出てお茶漬け食べて着替えてエプロン付けて前髪縛って外に出て、
チャリで買い物行ってレンタル屋でデトロイトメタルシティのDVDとNIRVANAのベストCDをレンタルして帰り途中で道端にチャリ止めて、
何気に寝転んでパシャパシャとコンデジで写真撮ってたら電池切れになってどうしよっかな~と思いつつケータイで続き撮ってて何だかノッて来たけど、
帰宅途中の子供たちとか買い物帰りの人たちとかの通りすがりの人たちの視線がこれ以上になったら白と黒の車を呼ばれそうだったので仕方なく起き上がってチャリに乗って近くの公園に移動して、
ベンチに座ってスーパーで買った2割引のレーズンパンと豆パンを食べながらキャッキャ遊んでいる子供たちをボンヤリ見てぬるくなったいちご牛乳をチューっと飲んで空を仰いでみた。
物凄い青空だったけど電池交換を兼ねてのメンテナンスで約一ヶ月もメーカーの実家に帰っていた腕時計の針は夕方を指していたからベンチから立ち上がって近くのゴミ箱にゴミを捨てた。
よし。動くとすっか。
「職業:奴隷」から、
「職業:勇者」へ。
始動です。
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